災害により、こころにダメージを受けた場合、どのようにすれば軽減できるかを掲載したいと思います。
被災した人に起こることがある症状
災害で被害にあうと、こんな心身の症状が出ることがあります。
心理面・行動面
- 不眠、つらい出来事に関する夢をみてうなされる
- 強い不安、気分が落ち込む
- 孤立感を感じる
- イライラして、怒りっぽくなる
- 自分を責める
- 神経が過敏になる
- ひきこもる
- 食欲がなくなる、過食になる
- こどもがえりする
- 危険を恐れて、過剰なほどに警戒する
- 自分の意思に反して、記憶がよみがえり、苦しめられる(フラッシュバック)
思考面
- 判断力、集中力が低下する
- 無気力になる
- 選択肢や優先順位を考えることができない
- 将来のことが考えられない、見通しが持てない
身体面
- 頭痛、筋肉痛
- だるい、めまいがする、吐き気がする
- 下痢や胃痛になる
- 風邪をひきやすい
- 動悸、震え、発汗する
- 持病が悪化する
これらは、大きなショックを受けたときに、誰にでも起こることがある反応です。
後になって、こころが不安定になってしまわないために、できる範囲で構いませんが、次のようなことを心がけておくとよいと言われています。
こころをケアするための4つの行動
必要な情報を得る
知りたい情報を得ることで、必要以上に何かを恐れたり、不安にならずにすみます。
また、自分と同じように、他の方も「わからない。知らない」ということを知ることで、「何かについて知ることができていないのは自分だけではない」ということがわかることもあります。
休養をとる
災害直後の時期には、休養するのが大切です。
避難所では多くの方がいて、プライバシーを守りにくかったり、夜まで明かりがついていたりして、普段より休みにくい状況になります。
休めるときには休むようにしてくださいね。
自分がリラックスできる方法や、気持ちを表現できる活動を行う
できれば、次のような活動をしてみてください。
上手にする必要はありません。
自由に好きなように、やってみてください。
- 温かい飲み物を飲む
- 好きなように歌を歌う
- 気持ち、考えていることなど、好きなことを書く
- 身体をマッサージしたり、ストレッチさせたりする
- こどもや自分を撫でたり、抱きしめたりする
身体をマッサージしたりして、身体をケアすることは、心をケアすることにもなります。
また、こどもも大人も、泣きたいときには、泣かせてあげてください。
私も東日本大震災の経験者で、他の被災された方、支援している方と話す機会が多くあります。
東日本大震災からは5年経ちますが、今でも、気持ちを表現できるプログラムが支援活動に取り入れられています。
食べ物や飲み物なども、自由に手に入らない状況なので、可能な限りということになりますが、機会があれば、やってみてください。
人とのつながりをもつ
安心して話せる相手と話をしたり、くつろいだりする
気持ちを話したくない方は、無理に話す必要はありません。
特に、災害直後の混乱している時期に、怖かった経験について詳細まで話すというのは、それをまた体験し直すかのように、こころに大きな負担をかけてしまいます。
心の傷をさわってしまうことになり、傷がふさがりにくくなってしまうようなものなのです。
ですが、「安心して話せる相手」に話をして、誰かに自分が抱える気持ちを理解してもらうことで、気持ちが楽になりそうな方は、話をすることも心の回復の役に立ちます。
被災した地域には、こころのケアの専門家が入ることが多くあります。
無理せずに、その方のペースで、専門家にゆっくり体験についてお話されるのがよい方もいらっしゃるようです。
支えられ、支える
大変なときでも、「相手に負担をかけてはいけない」と思って我慢してしまいがちです。
でも、家族やお友達に連絡をとったりして、支えてもらってもよいのです。
家族や友人と一緒に過ごしたり、話をすることが、周りの人を支えることにもなります。
人は他の人とのつながりの中で、こころを回復させていくのです。
また、災害の後は、罪の意識、自分を責めるような意識を持つ方が多くいらっしゃると言われています。
あなたが悪いわけではありません。
できることはなかったのです。
ご自分を責めてしまわないようにしてくださいね。